ひなびた風情や自然が売り物の県内の温泉宿が混浴の維持に腐心している。青森市の酸ケ湯温泉は、一部男性客のマナーの悪さに女性客から苦情が続出。昨年、やむを得ず男女の視線を遮る仕切りを浴槽に設置したところ、今度は「開放感がない」という声が出たため、仕切りを撤去した。しかし、その後も女性客からの苦情が絶えず、同温泉では湯治客らが立ち上がり「混浴を守る会」を発足、マナー改善に乗り出している。
酸ケ湯温泉は、自然環境や泉質の魅力から湯治客や観光客の人気が高い一方で、若い男性客を中心とした混浴の大浴場(千人風呂)のマナーが問題になっている。同温泉は長年、女性専用時間帯を設けて対応してきたが、近年は「じろじろ見られた」など女性客の苦情が急増している。困った温泉側は昨年六月、浴槽の間仕切り設置に踏み切った。ところが、今度は「窮屈だ」との不満が男女双方から殺到し、四カ月後には間仕切りを撤去した。
そこで、動いたのが同温泉の窮状を聞いた湯治客たち。今年四月に「守る会」を発足、会員は二千人を超えた。青森市出身で百一歳の現役スキーヤー、三浦敬三さんが会の男性代表を快諾。館内に「異性入浴者を好奇の目で見るべからず」と書いた看板を設置した結果、苦情は減っているという。
県内のほかの温泉宿でも混浴の維持に、配慮を重ねている。谷地温泉(十和田市)は「元湯に安心して入りたい」という女性客の声に応え、源泉が直接流れ込む混浴風呂に九月から女性専用時間を設定した。波打ち際の露天風呂で人気を集める黄金崎不老不死温泉(深浦町)は、一九九八年に女性専用の露天風呂を設置し、それまでの混浴風呂を男性専用としたが、混浴継続を求める声があり、男性風呂を再び混浴に戻している。